良き報せ

ニュースから流れてくる新型コロナウィルス感染拡大の情報に不安な日々を過ごしていらっしゃるでしょうか。
そんな中にあっても、柔らかな日差しや草花の生命力に春の季節を感じます。

ティク・ナット・ハンの詩集「わたしを本当の名前で呼んでください」(訳 島田啓介)の中にある詩を紹介します。この詩は湾岸戦争が始まった翌年に書かれたものです。
あなたのまわりにある「良き報せ」を探してみてください。



良き報せ
                                                             ティク・ナット・ハン

彼らは良き報(しら)せを
紙面に載せない
良き報せは
私たちが出版する
一瞬ごとに出す特別号を
あなたに読んでほしい
良き報らせ   それは
あなたが生きていること
菩提樹の木がまだそこにあること
厳しい冬のさなかに揺るぎなく立つその木
良き報らせ   それは
青空に染まるあなたのすばらしい両目
良き報らせ   それは
目の前にいるわが子を
いつでも両腕で
抱きしめられること
彼らは世の中の問題ばかりを印刷する
私たちの特別号に目を通してほしい
私たちはいつも問題以外のことを提供する
あなたが良き報せの恩恵を受け
それらを護ってくれたらと思う
タンポポは歩道に咲き
すばらしい微笑みをたたえ
永遠(とわ)の歌を歌っている
聴いて!あなたには聴く耳がある
頭を垂れ
耳を澄ませてほしい
悲しみと思いこみの世界を離れ
自由になるのだ
あなたにはそうすることができる
それが私たちからの新着の良き報せだ

                    -1992年3月。